【連載企画】スマートシティの未来に関する3つの予測

WRITER : 野田 勝

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前回第4回記事では、スマートシティ事業に取り組む注目企業を紹介した。スマートシティ特集最終回となる今回は、スマートシティの未来を考察していく。

近年、自然資源に依存しない、人と環境にやさしいスマートシティの建設は、世界各国の重要課題として研究・開発が急がれている。現在国内外を問わず、多くの都市がスマートシティプロジェクトに取り組んでいるが、そのほとんどはまだ実証実験段階にとどまっている。そこで今回は、国内外でスマートシティ事業に取り組む企業や、予測を発表している記事の内容を元に、スマートシティの未来に関する考察をお伝えする。

第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?

第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向

第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える

第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選

第5回:【連載企画】スマートシティの未来に関する3つの予測

新興諸国がスマートシティの重要なプレイヤーとなる

空気汚染

引用:Air pollution cause of 200,000 premature US deaths – study

スマートシティは現在世界4000地域で進行していると言われ、スマートシティの広がりは全世界的なものとなってきている。その中で特に注目を集めているのは、中国、インドなどの新興大国だという。スマートシティではスマートグリッドを活用した電力の最適分配や、太陽光発電を活用したCO2排出の削減といった、環境負荷の低い社会システムを構築していく。

従って、合計約25億人の人口を抱え、発展の過程で深刻な環境汚染を引き起こしている中国、インドを始めとした新興諸国の電力配分が最適化され、環境負荷の低い社会が構築されれば、地球社会へと与える影響は非常に大きい。

日本やオランダといったスマートシティ先進国は、現在数多くの実証実験を行っている。そして、実証実験を重ねた結果確立されたスマートシティの成功モデルを新興諸国に輸出することが重要になってくる。

▼参照
10 Drivers of Smart City Planning in 2015

データに基づく未来予測型の世界が到来する

スマートシティでは、数多くのセンサリングシステムが街に設置される。IoTとも関連して、張り巡らされたセンサー同士が相互に作用しあう事で、全体最適な世界が実現される。

また、様々な方法で集められたデータを統合分析する事で、数時間後の未来を予測する事ができるようになる。

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具体的には、人の流量を検出するカメラが街の至る所に設置され、街の交通量はデータとして管理される。米国のスタートアップPlacemeterは、ニューヨーク市の防犯カメラ映像を解析する事で、街の交通量を分析している。そして、天候やイベントなどの変数と交通量を連動させて分析する事で、数時間後にどこに人が集中するのか、といった未来予測が可能になる。その結果、渋滞緩和などを考慮に入れた、効果的な都市設計を行う事が可能だ。街の渋滞が緩和されれば、車のアイドリングに伴う排気ガスの排出が抑えられ、スマートシティの重要な目標である低炭素化社会の実現に大きく貢献する。

ネズミ

引用:Chicago’s smart city: From open data to rat control

また、アメリカシカゴ市では、街の犯罪率から水質調査の結果にいたるまで、600を超えるデータをオープンデータとして公開している。また、31種類にも及ぶ市内のデータを統合管理するプラットフォームも運営している。このプラットフォームでは、例えば天候、ゴミが溢れている場所、空きビルの位置などの場所を分析することで、ネズミが発生する場所を予測し、住民の通報を受ける1週間前には既にトラックを派遣して駆除用の餌をまく、といった事ができる。

このように、スマートシティでは、数時間後、もしくは数週間後に何が起きるかを予測できるようになっていく。

▼参照
Chicago’s smart city: From open data to rat control

Googleがスマートシティ市場に進出する

Photo: Ariel Zambelich/Wired

引用:Google Couldn’t Kill 20 Percent Time Even if It Wanted To

GoogleマップやGoogleアースを始めとし、ありとあらゆる情報を所有しているGoogleは、現在スマートシティ市場に参入する意向を示している。GoogleのCEOであるラリー・ペイジは、今後世界が直面する大きな課題を解決する為に、Google2.0というプロジェクトをスタートさせた。Google2.0が課題とするテーマには、都市や空港の整備が含まれる。このプロジェクトを推進する事を目的として、Google.Xに次ぐ研究機関、Google.Yの設置も提案された。カリフォルニアに大規模なソーラーパネルを設置するなど、既に再生可能エネルギー分野に参入しているGoogleは、今後Google.Yを使ってスマートシティの研究開発に取り組む。

また、GoogleVenturesが投資している企業にUrbanEnginesというベンチャー企業がある。UrbanEnginesはサンフランシスコに拠点を置く、都市交通開発を行う企業だ。スマートシティ開発で有名なシンガポールで既に導入が開始されるなど、新興国を中心に導入が始まっている。UrbanEnginesは交通機関利用者の動きを、交通カード等の既存システムを活用する事で分析している。仮にGoogleがUrbanEnginesの持つデータを獲得した場合、Googleは街の人に動きを掌握できることになる。もし街全体の人の流れを把握できれば、例えばデジタルサイネージと交通量データを連動して、交通量の多い場所、時間帯は広告の価格が変動するなどの次世代広告モデルが登場してくる可能性もある。多角的な情報や技術を掌握しているGoogleだけに、スマートシティ市場に参入してきた場合、単に電力の最適配分などにとどまらない構想を打ち出してくるに違いない。

▼参照
At Google, Larry Page’s Dreams Keep Getting Bigger

https://www.crunchbase.com/organization/urban-engines

 

都市のスマート化で私たちの生活は一変する

今回紹介したように、スマートシティは環境への負荷を低減するだけにはとどまらない。将来的には、防犯カメラや温度計、GPSなどありとあらゆるセンサーを通じて取得されたデータがクラウド上で統合分析され、未来予測に基づく渋滞緩和など、都市機能の最適化も図られる。テクノロジー発展の恩恵を受け、私たちの生活は便利になり続ける。今後数十年スパンで発展していくであろうスマートシティ構想に要注目である。

次週は「ディープラーニングと未来」をテーマに、全5回にわたる連載をお届けする。

第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?

第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向

第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える

第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選

第5回:【連載企画】スマートシティの未来に関する3つの予測

 

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