データの分析・活用が企業活動の中で非常に重要な位置を占めるようになってきている。これは誰にとっても疑いようのない事実だろう。ビッグデータという言葉も、もはや聞かない日はないくらいであろう。
ロンドンビジネススクールのMBA出身者で、ヨーロッパの宇宙関連インフラメーカーを率いた経験があり、現在は詐欺防止ソフトを提供するFeedzaiのCEOを務めるNuno Sebastiao氏は、データが重要性を増してきている根底には2つの理由があるという。
今回は、Nuno Sebastiao氏が語るデータとデータサイエンティストの重要性についてのお話をご紹介したい。
また企業におけるデータの分析や活用事例については、以下の記事でも詳しく述べられているので、参考にしていただきたい。
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根底にあるものはビッグデータと競争環境の激化
引用:http://www.cmswire.com/~/media/4e03132b28cc4ae2827964462d717f2a.jpg
Nuno氏いわく、データサイエンティストによるデータ分析・活用が重要になってきている理由の一つは、過去に比べて取得できるデータが量・種類ともに増えたこと、もう一つは企業の競争環境が激化しており、今までの主観に頼った当たり前の取り組みをするだけでは生き残れなくなってきていることがある。
そして、これは決してIT企業だけの話ではない。例えば、ロールスロイスは飛行機エンジンのデータを分析して、メンテナンスがいつ必要かを確認しているし、化粧品会社のロレアルは、タイプの違う肌に複数の化粧品を使った際の効果をデータサイエンティストチームが研究している。このようにデータサイエンティストチームは、正しい意思決定の根拠として、事業を推進していくことを支援することができる。
圧倒的に不足しているデータサイエンティスト
引用:http://www.careerealism.com/data-science-education/
Monster Worldwide, Inc.が発表した近年の調査結果では、拡大するデータサイエンティストの需要に対して当該領域のPh.D(博士号)を持った人材の数自体が圧倒的に不足していることがわかっている。USではこの傾向が特に顕著で、2010~2011年に募集が開始されたデータサイエンティスト求人の80%が未だに満たされていない。データサイエンティストを育成する取り組みも増えているが、育成には数年かかるというのが現状である。
企業がビッグデータを管理・活用するために何をするべきか
データサイエンティストの需要がこのように高い中では、優秀なデータサイエンティストを採用する事自体が非常に難しい課題になってくる。採用に6ヶ月~1年かけることもしばしば起こることである。
採用の他に、固定概念を排除してデータによる提言を受け入れる企業文化も重要になってくる。また小売業者にとって特に重要なのは、データによる仮説立案と検証をスムーズに行える環境を構築するために、より良いソフト・ハードウェアに投資することである。そして何よりも、データから得られた知見を素早くオペレーションにまで落としこむ組織の機動力が必要になってくるのである。
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▼参照記事
http://www.retailtouchpoints.com/features/executive-viewpoints/the-value-of-retail-data-scientists