本記事は小売業界の本部・エリアマネージャの方向けにストアアナリティクスサービス導入時に検討する内容をご紹介する内容になっています。
使えるツールを選ぶ難しさ
昨今、多くの小売店でカメラを用いたストアアナリティクスが導入されています。ストアアナリティクスとは実店舗での顧客行動を可視化し分析するためのサービスを指します(詳しい解説は下記をご参照ください)。
https://abejainc.com/insight-retail/article/about-store-analytics
正しく店内の状況を把握することは、売上が上がる再現性を見つけることに繋がります。今までやみくもに「VMDを変えましょう」「レイアウトを改善しましょう」と施策をおこなっていた店舗も多いと思いますが、それを数値で改善できるようになるのです。
ただ、そんなストアアナリティクスのサービスを導入しても「どう使えば良いのかわからなかった」、「期待したような可視化が行えなかった」という小売企業も多いのではないでしょうか?
これらのサービスを正しく選ぶためにはいくつかのポイントがあり、本日はそれらをご説明いたします。
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海外でのストアアナリティクスのファネル
Accentureの調査から、実店舗をもつ小売企業のうち72%のリーダーが数値などのデータに基づく意思決定を組織内で行いたいと考えており、この先さらに高くなっていくと考えられます。しかしながら店舗における主要なデータとなるのは古くからのPOSデータであり、今でも来店から購入までのファネル分析が行えていない企業も存在します。小売におけるファネルとは、ずに示される店前人数、来店者数、棚前通行人数、手伸ばし数、購入までの一連の流れを指します。
下記のファネルを見てわかる通り、左のPOS分析のみではBlindSpot(計測できない部分)が存在し、店内の行動が全く把握できていないことがわかります。
ストアアナリティクスの手法
ストアアナリティクスに使われる計測手法の分類としておおまかに以下のようなものがあります。
動画分析(カメラによる顔画像検出)
動画分析(天井に取り付けたToFセンサ)
Beacon
それぞれの分析方法についてまとめます。
1.動画分析(顔画像検出)
特定位置での来店者の属性情報を判別できます。
来店位置、またはレジ前に取り付けるなど測定位置を変えることで属性情報のファネル分析も可能です。
来店者の顔画像データを扱うため、プライバシーに配慮したシステムが必要です。
2.動画分析(天井に取り付けたカメラ・ToFセンサ)
来店者がどのような動線で動いたか、どこに滞在したかがわかります。
来店者のスマホなどに依存せず計測が可能です。
センサの施工や設置位置調整が重要です。
3.Wi-Fi, Bluetooth によるBeacon
スマホなどのBluetooth機能を活用して来店者のトラッキングを行います。スマホだけではなくスマートウォッチや、店側で用意したショッピングカートのトラッキングも可能です。
トラッキングを許可した来店者がどのような動線で動いたか、どこに滞在したかを大まかに把握できます。
比較的低コストでの実現が可能です。
デバイスによるトラッキングを行うため、来店者の許諾を得る必要があります。
可視化方法の比較
※ Wi-Fi、Beaconについてはいずれもトラッキングの許諾が必要となります。
※カメラでの解析を行う際にはその趣旨を店内に掲示しておくことが推奨されます。
個人の動線をWi-Fi、Beaconで判別するケースでは事前に許諾が必要となるためアプリなども併せて使用してもらう必要があります。アプリにてスマホを識別する仕組みへの同意をとった上で、動線などを計測することが可能となります。このケースでは、実店舗での購買行動がオンライン上の顧客の購買行動と紐づけることも可能となりますが、顧客に対して何らかの利益がない限り許可をいただくのが難しいことが多いです。
ToFセンサだけを使った分析では、ユニークな来店者などの個を識別することはできませんがどこにどれくらい滞在したかなどのヒートマップ・動線分析が可能となります。
計測方法によって取得できる情報に差が出ることはお分かりいただけたと思いますが、それをどのように選んで導入したら良いのでしょうか?
導入時に考えるべき2つのポイント
ポイントとなるのは複数の店舗へ導入することと、計測データに対して仮説をもって分析することです。
ポイント① 複数の店舗へテスト導入する
売上が平均より良い、または悪い店舗に対してデモ的に導入することで、どこに原因があるのかを比較することができます。
特に優先して取り組むべきは来店人数の計測です。なぜなら店舗外の外的要因によって左右する売上への影響を切り離して考えられるようになるからです。
店前を通行している人の数が違うのに、同じ売上を求めようとしても差が出るのは容易にわかるはずです。
ポイント② 仮説を立てた上で、計測結果を分析する
来店計測を行えた上で、棚ごと、商品ごとの分析を行うことで店内における購入ファネルの最も大きな課題を把握します。
この時の分析において、ある程度事前に仮説を立てる必要があります。例えば「接客人数によって売上に差が出ている」「A店とB店のレイアウトによって売上に差が出ている」など仮説を立てて計測を行うことで何を比較したいかを明確にしましょう。
これらのプロセスを経ることによって「何と比べて良い・悪いのか」が判断できるようになります。1店舗だけを見ていても、売上の変化が季節性のものなのか、それとも立地やイベントに起因するものなのかは不明です。複数店舗を比較し、仮説を立てることで「何を測りたいのか」、「どのように測りたいのか」が明確になります。
日常的に目標となる値(来店者数、棚間の通行人数)を計測することはもちろん大事ですが、それらを導入していない企業ではまずテスト的に計測することから始めてはいかがでしょうか?
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ABEJAでは2013年から小売店舗向けのストアアナリティクスを提供しております。150社、1000店舗以上に導入されており、分析精度の高さとデータ分析サポート体制において高い評価をいただいております。
https://abejainc.com/insight-retail
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参考文献
eBook How In-Store Retail Analytics Technologies are Driving Store Results