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Insight for Retail ブログ

店舗マーケティングを紐解く│考慮すべき売上構成要素とこれらを伸ばす具体的施策

Update 2023-03-28

#店舗運営, #小売, #ストアアナリティクス



店舗売上を伸ばすのは、店舗運営に関わるすべての人が取り組むべき命題です。しかし、追い求める指標が間違っていたり採るべき手法が不明確なために、なかなか思うように売上が伸びないというケースが少なくありません。


消費者に購買行動を促すためには、店舗を構える商圏の顧客傾向を掴み、ニーズに即した売り場づくりを進める必要があります。ここで不可欠なのが店舗マーケティングです。この記事では “店舗マーケティングの実践” をテーマに、主に実店舗で行われるインストアマーケティングに焦点をあて、基本から実践方法までを解説していきます。後半では具体的な施策例を店舗担当者、本社担当者別に解説するほか、実際の取組み事例も紹介していますので、店舗運営に関わる方はぜひ参考のうえ、日々の実務に役立ててください。


 

この記事で身につくこと

  • 店舗マーケティングで注視すべき指標がわかる

  • 各指標を伸ばすための施策を立案することができる

(この記事は、約5分で読めます)

 


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店舗マーケティングとは?


店舗マーケティングとは、消費者の購買意欲をうながして店舗の売上を最大化するためのマーケティングを指します。対象となる業務は、市場調査、商品企画、プロモーション、販売促進など多岐にわたりますが、ここではそのなかでも、消費者の購買意欲を促すために実店舗で行われるインストアマーケティングに絞って解説していきましょう。



一般的なインストアマーケティングの施策


このインストアマーケティングには、どのような施策があるのでしょうか。イメージしやすいものだと、店舗の入り口や商品の棚などに掲示するPOP、デジタルサイネージが挙げられます。話題になっている商品や、戦略的に販売したい商品を訴求すれば、来店した消費者の注目を集めることができるでしょう。


また、店舗のレイアウトを工夫すれば、消費者の動線を変えることも可能です。視覚的な印象を考慮した「VMD(Visual Merchangdising)」を組み込むことで、消費者にとって商品を探しやすく、購入しやすい売場を作ることもできます。そのほかに、ポイントカードなどを利用してSNSやEメールといったデジタル上でのコミュニケーションができる会員を増やすことも、インストアマーケティングの1つと言えます。


このようにインストアマーケティングには様々な手法があります。そして、手法ごとで、目的となる “伸ばすべき指標” も違います。まずは店舗売上を伸ばすための指標となる、売上構成要素について整理していきましょう。


 

KPI指標となる、売上構成要素


店舗売上を伸ばすうえで、売上を「来店客数×購買率×平均客単価」のように売上構成要素に分解して考える必要があります。各構成要素をKPI指標化し、これを伸ばすための施策を個々に企て、実行し、効果検証のうえで再度施策を立案する、こうしたPDCAサイクルなしに、戦略的な売上増は叶いません。



来店客数


来店客数は文字の通り、店舗に訪れた人の数を指します。


どれだけ魅力的な商品を置いていても、消費者が訪れなければ購買される機会は生まれません。売上を左右する分母となることから、来店客数は売上構成要素の中でも特に重要なKPI指標だといえます。この来店客数は、新規顧客とリピーターの2つに分けて考える必要があります。新規顧客を増やすのとリピーターを増やすのでは、採るべき手法が大きく異なるからです。


また、この来店客数は、「店前通行量×入店率」という風に、さらに分解することができます。来店客数を引き上げる場合、いかにしてこの入店率を伸ばすかも注視するとよいでしょう。



購買率


購買率は、来店客数のなかで商品・サービスを購入した人の割合を指し、「購入客数÷来店客数」で計算することができます。


例)1,000人の来客があり、そのうちの100人が購入した場合

   購買率 = 1,000人(来店客数) ÷ 100人(購入人数) = 10%


例えば月に10,000人の来客人数があったとして、たとえ1%だけでも購買率を伸ばすことができれば、購入人数は100人も増加します。微細な数値の変動が売上に大きな変動を及ぼすため、店舗運営に関わる方は、購買率の増減を絶えず注視しなくてはなりません。



平均客単価


平均客単価は、1人の顧客が1度の購入で支払う平均金額のことです。最近注目されているLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは違い、1度の注文で支払う平均金額であることに注意しましょう。この平均客単価は、「店舗売上高÷購入客数」で計算することができます。


例)1か月の売上高が200万円で、購入客数が500人の場合

   平均客単価 = 2,000,000円(売上高) ÷ 500人(購入人数) = 4,000円


 

売上構成要素を可視化する方法


自店舗の売上構成要素を紐解き、どこを伸ばしていくかを明確にすれば、採るべき施策は自ずと決まってきます。しかし、ここで店舗運営に関わる人を悩ます1つの事実があります。売上構成要素という視点は店舗売上を伸ばすのに欠かせない一方で、これを可視化するのは困難だということです。その要因は、来店客数を可視化することの難しさにあります。


残念ながら、来店客数を収集する仕組みを用意できている店舗は未だ少数です。平均客単価についてはPOSデータをもとにして購買人数と売上高から算出できるでしょう。しかし、来店客数が不明瞭なままでは構成要素の1つが抜けてしまいますし、購買率を計算することもできません。目視確認をベースにして来店客数を計測するのも手ですが、そこではどうしても人的コストがかかってしまいます。継続的かつ確かな数値としてこれを可視化し、PDCAサイクルをまわしたいなら、以下で紹介するストアアナリティクスについて検討してみるとよいでしょう。


ストアアナリティクスは「リアル店舗分析」「AIカメラによる店舗分析」、「インストアアナリティクス」などとも呼ばれ、実店舗での顧客行動を可視化し分析するためのサービスを指します。ストアアナリティクスの詳細についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、興味のある方は参照ください。


参考記事:

成功する小売店舗が知っている、ストアアナリティクスとは?


 

売上構成要素を伸ばすための具体的施策


店舗マーケティングの基本を押さえたところで、話を具体的施策に移しましょう。ここからは、売上構成要素のなかでも来店客数と購買率に注目し、各KPI指標を伸ばすための施策例について、店舗担当者と本社担当者別に紹介していきます。なお、この記事では店舗担当者と本社担当者について、以下の方を想定しています。


 

店舗担当者

  • 店舗責任者

  • 店舗スタッフ

  • 本社 スーパーバイザー/エリアマネージャー

本社担当者

  • 本社 店舗運営部担当者

  • 本社 VMD担当者

  • 本社 マーケティング担当者

 

来店客数を伸ばす施策


来店客数を構成する要素には、来店する可能性のある店の前の通行量(店前通行量)と、そこにいる消費者が入店する割合(入店率)があります。それぞれに分けて、施策例を紹介しましょう。


店前通行量:店前に誘導する施策例


店舗担当者が行う施策例

  • ポイントカード等によるデジタル会員の増加

  • SNS、Eメール、店舗ブログ等による、デジタル会員やファン層への情報発信


本社担当者が行う施策例

  • EC等によるデジタル会員の増加

  • ブランドに合った、ターゲットとチャネルの明確化

  • アプリ、SNS、チラシ、DM、EC、CM、インフルエンサーを活用し、ブランドに合ったターゲットへ情報を発信する

  • 新商品に合わせたイベントプロモーションを実施

  • ECのトップバナーで、店舗お店のイベントやキャンペーン情報を打ち出す

  • 店頭在庫をECに表示させ、店舗体験を促す



店前通行量:館内にいる消費者を店前に誘導する施策例


店舗担当者が行う施策例

  • 館内のセールへの参画

  • 館内パンフレットへの掲載交渉

  • タイムセール等の館内放送の実施

  • シーズンキャンペーンなど館内VMDスペースへの設置交渉



入店率:店頭VMDを最適化し入店率を伸ばす施策例


店舗担当者が行う施策例

  • サイネージや店舗名を店前を通行する消費者の導線に向くように設置する

  • 店外からみえる店内の通路幅を、カート幅(ベビーカー幅)は最低確保する

  • 店内の奥まで商品構成が見え、一目で各コーナーがわかる売場構造に変える

  • 店頭ワゴンと連携したタイムセールの声掛けを実施する

  • 店で置いてある商品の平均単価よりも低い雑貨を店頭に出し、注目度を上げる


本社担当者が行う施策例

  • 未来の売上をつくるべく、今売れている商品のみでなくこれから売り込みたい商品も戦略的に店頭に設置する

  • 売り込みたい商品が売れない場合、店内へ回し、新たな商品を店頭に設置する

  • 店頭でのPR内容とECのコンテンツを共通化し、ECで見た内容を想起させる



購買率を伸ばす施策


購買率を伸ばすうえでは、来店客が気軽に店内を回遊し、気になるエリアや棚で立ち止まる機会を増やすのが有効です。もちろん、そこでの接客が重要であるのはいうまでもありません。それぞれに分けて、施策例を紹介しましょう。



店内回遊、棚立ち止まりをうながすための施策例


店舗担当者が行う施策例

  • 店内の導線幅を、カート幅(ベビーカー幅)は最低確保する

  • スポットライトが適切に当たってるか否かを確認する

  • 他の賑わっている店舗とその棚を分析し、「何に寄り付いているか」を明確化のうえ自店舗で再現する

  • 雨の日に傘や雨具を店頭に陳列するといった、天気等の環境要素に応じ臨機応変に棚構成や商品を変える(パターンを数個用意する)


本社担当者が行う施策例

  • 店頭の通路からでもどこに何があるのかが分かる売場づくりを店舗に徹底してもらう

  • キャンペーンやイベント等の企画意図を店舗に伝え、売出し商品をセットで提示する棚づくりをしてもらう

  • 消費者に企画意図が伝わるよう、店内のセンタースペース等で大々的にメッセージを打ち出す売り場づくりをしてもらう



接客:潜在ニーズを引き出しファン化させる施策例


店舗担当者が行う施策例

  • 目的無く入店した消費者に対して情報を聞き出し、潜在ニーズ汲み取る

  • 新規客の場合は、「来店→回遊→立ち止まり」の立ち止まり(商品への興味)フェーズで、はじめて声掛けを行う

  • リピート客の場合は、前回買った商品と連動した商品を提案する


本社担当者が行う施策例

  • オンラインではできない大事な接客ポイントとそのルールを明確にし、各店へ徹底してもらう

  • 販売スタッフがブランドに沿ったスタイリングを意識するよう指示、指摘する

  • タブレットを導入しECにある充実した情報へいつでも遷移ができる状態を確保しておく


 

店舗マーケティングを実践した事例


最後に、ここまで述べた店舗マーケティングを実践し、売場改善や売上増を実現した事例について紹介します。いずれも、前述のストアアナリティクスによって売上構成要素を可視化することにより店舗マーケティングを実践した取組みとなります。



株式会社ビームス



国内外に約160店を展開するビームスでは、主にアウトレット店を対象にして、データに基づく店舗づくりを推し進めています。同社では、ストアアナリティクスを利用することで店舗内の顧客動線を分析し、その結果に基づいて商品配置などを変更することで、来店客の回遊距離の増加などの効果を得ています。


参考:株式会社ビームス 成功事例 -動線分析をもとに、店舗レイアウトの創意工夫を-



株式会社ICI石井スポーツ




スキー、登山用品の専門店として全国に32店舗を展開するICI石井スポーツ。同社では全国を8つのブロックにわけ、各ブロックリーダーが主軸になって、地域に即した店舗づくりを進めています。同社では、ストアアナリティクスを利用することで、来店客の数とその属性を可視化。ここから導き出せる購買率を店舗間で照らしながら、データに基づいた店舗戦略を推進しています。


参考:株式会社ICI石井スポーツ 成功事例 -スタッフの経験と勘から脱し、 店舗作りノウハウを蓄積したい-



株式会社三陽商会


三陽商会では、数多くのファッションブランドを手掛けています。そのなかの1つであるLOVELESS(ラブレス)では、データに基づく接客の高度化が進んでいます。同社はストアアナリティクスで来店客数と購買率、接客率を明確化し、接客率と購買率の間の相関性について検証。この結果、接客率の低い店は売上と購買率が低いことが明らかになり、店員の増員等で対策することにより、接客率の向上を推し進めています。


参考:株式会社三陽商会 成功事例 -接客の取りこぼしをふせぎ、売上が昨年比2桁増-


参考:ストアアナリティクス、店舗マーケティングの取組み事例一覧


 

まとめ


“店舗マーケティングの実践” をテーマに、主に実店舗で行われるインストアマーケティングに焦点をあて解説してきました。


既に説明したように、店舗売上を伸ばしていくうえでは、売上構成要素をそれぞれKPI指標化し、個々に施策を企て、実行し効果を検証する、PDCAサイクルが欠かせません。この記事で紹介した施策例や事例を参考に、店舗改善に臨んでみてはいかがでしょうか。



 


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ABEJAでは小売店舗向けのストアアナリティクスを提供しております。150社、1000店舗以上に導入されており、分析精度の高さとデータ分析サポート体制において高い評価をいただいております。


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